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東京では桜も見ごろ。汗ばむほどの春の陽気だ。 「桜は満開もいいけど、つぼみもいいし、散ったあとも風情があるな」と、もともと浮かれ気味の僕は、ビール片手にますます浮足立った日々を送っている。 そんなある日。山あいの簡素 […]
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僕の親父とお袋は、和服が好きだった。 お金持ちじゃなかったから、けっしていい着物を着ていたわけではない。子ども時代に戦争を体験してきた世代だから、ぜいたくとはまったく無縁の人たちだ。 質実に暮らし、特別な日に和服を […]
もし僕がオリジナルグッズを作るなら、『永久保証』にしたいと思っている。 壊れない自信がある、ということではない。修理ができる、ということだ。 手塩にかけて世に送り出した道具なんだから、長く使ってほしい。できることな […]
日本語イディオムに、「足もとを見る」という言葉ある。 「弱みにつけこむ」といったような意味だ。 野暮を承知でもうちょっと書くと、「街道筋や宿場などで、駕籠かきや馬方が旅人の足もとを見て疲れ具合を見抜き、疲れた客の弱み […]
「ダウンウェア」を初めて知ったのは、1970年代の初めだった。 そのとき僕は厚顔(「紅顔」と書きたいところだけど、ちょっと無理があるよな)の高校生で、神戸の三宮から元町の高架下を歩いているときに、なにやら救命胴衣のよう […]
山でも町でも、海でも川でも、「好きなものを着ればいい」とぼくはつねづね思っている。 自分がいちばん好きなウェアに身を包んで遊べばいい、と。 アウトドア・ウェアは、化学繊維が全盛だ。 なんたって機能的である。汗をか […]
山歩きの必需品として、地味だけど必ずや欲しいのは、帽子とマフラーだ。 帽子は、夏の直射日光をさえぎり、寒いときには温かさも与えてくれる。怪我防止にも役立つ。そして、雨のときには雨具のフードの下にかぶることで、視界を広 […]
季節は夏。暑い盛りだ。 とはいえ、白山の標高は2,702m。 今回は、まずはウェアのことからはじめよう。 「山でアロハはないだろっ!」という声も聞こえてきそうだけど、ぼくの山歩きのスタイルはアロハシャツなのだ。あし […]
匂いは、人を覚醒する。 沈丁花の香りが南の風にまじると春の訪れに心が浮きたつし、金木犀の匂いが漂いはじめると秋の愁いを感じるし。香りによって、いろんな記憶がよみがえる。匂いとは、ほんと不思議なもんだ。 匂いで思い出 […]
テントの中で雨のしとしと音を聴いていると、まるで素敵なソファの上にいるような気分になってくる。何時間でも、ごろごろとまどろんでいられるのだ。 静かな雨に音には、トランキライザーが含まれているのかもしれない。 だから […]