さてさて。
一泊二日白山山行全装備のつづきである。
山の常識や良識をちょっとばかり踏みはずした装備を、紹介してしまおう。
季節は夏。暑い盛りだ。 とはいえ、白山の標高は2,702m。 今回は、まずはウェアのことからはじめよう。 「山でアロハはないだろっ!」という声も聞こえてきそうだけど、ぼくの山歩きのスタイルはアロハシャツなのだ。あし […]
季節は夏。暑い盛りだ。
とはいえ、白山の標高は2,702m。
今回は、まずはウェアのことからはじめよう。
「山でアロハはないだろっ!」という声も聞こえてきそうだけど、ぼくの山歩きのスタイルはアロハシャツなのだ。あしからず。
(そういえば、もう15年ほど前のこと、登山届けを出すときにアロハシャツ姿のぼくは怒られたことがある。「山を舐めてはいけない!」と。すいません。)
サボテン柄のアロハシャツは、コールオブザワイルドとぼくとのコラボレーションで作った今夏モデル。素材は、ざっくりとした麻100%。シャツは、マウンテンイクイップメントのシナジー・ティー・ショート。肌側にウール、外側はポリエステルというハイブリッド。短パンは、マウンテンイクイップメントのホリーヘッド・ショーツ・グリッド。靴下は、ダーンタフのフルクッション。永久保証というタフさが売りのウールソックスだ。麦わら帽子はメーカー不明。蒸れが大きらいなので、夏は麦わら帽子で。
山登りのウエアを機能最優先で選ぶ、という気持ちはよくわかる。ぼくもぎりぎり(体力的にとか、気力的にとか、精神的にとか)の旅なら、もちろん機能を優先する。
でも、そうじゃないときは(ほとんどの旅がこっちだ)、いちばん着たい服を山の上でも身につけていたいのだ。
というわけで、アロハシャツとなる。
ただし、今回は登りで大汗をかくだろうし、山頂付近は風が強ければかなり冷えるだろうから、ちょっとばかりは機能のことも考えて、ウールとポリエステルのアンダーシャツを着用した。
アロハシャツの下にアンダーシャツを着るなんてかっこ悪いけど、これは山旅の特異ファッションということで、ま、勘弁してくれ。
ボトムは、シンプルに短パンだけ。
大きな声では言えないけど、アンダーのパンツはなし。これ一枚だけ。
(それと、「短パンにタイツ」という日本独自のあのカッコがきらいなので、もし筋肉保護などでサポートタイツをはくときは、長いズボンをはいて、タイツが見えないようにしている)
レインウエアは、上下ともにアウトドアリサーチを愛用。上はコンパクトに収納できるヘリウムⅡジャケット。ボトムはしっかりした生地のフォーレイパンツ。高地でのどしゃ降り強風など、いままでもずいぶん助けられた。今回の旅では、ご来光を見るための早朝登山のとき、防寒着として着用した。
それに、ウールのソックス。そして、仕上げは麦わら帽子。バックパックの中には、レインウエアの上下。
以上が、行動中のウエアだ。
薄手のダウンジャケットは、夏の山旅に重宝する。マウンテンイクイップメントのパウダーデュベ50は、重量わずか175グラム。首には肌触りのいい今治まきたおる。汗ふきタオルでもあるし、帰りの温泉用にもなる。
山小屋でのくつろぎスタイルは、綿のTシャツに薄手のダウンジャケット。ラフな長いパンツに、綿のトランクス(山小屋では“ちゃんと”はいてます)。
そして、肌触りがいい今治まきたおる(綿100%)を首に。
トレッキングもくつろぎスタイルも、身につけるものは自然素材を中心に選んだ。自然素材が、ぼくの中ではいちばん落ちつくのだ。いつでも、どこでも。
一泊二日だったので、予備としてもっていったのは、靴下のみ。
バックパックは、クレッタルムーセンのROSKVA TRAVEL PACK。古くなった漁業網やカーペットなどから作られた100%リサイクルのナイロン生地を使用。防水性、耐久性のあるバックパックだ。容量は、45リットル。リサイクルうんぬんという理念も美しいけど、なによりもこのデザインが好き。
デイナデザインのウェットリブは、本来はバックパックのハーネスに取りつけるのが正しい使い方。が、ぼくはベルトを取りつけ肩にかけている。バックパックから独立させることで、より使いやすく、広範囲に使える。中には、水筒、ノート、地図、行動食、それに一眼レフカメラ(この撮影にも使っているので映っていません)を入れた。デイナデザインのウェットリブはすでに廃盤だが、ミステリーランチが同じものを作っている。
これらウエアやホットサンドメーカー(前回紹介)などなどの装備を詰めていったのは、45リットルのクレッタルムーセンのバックパック。
お腹の上には、デイナデザインのウェットリブ。
そして、手には20年以上使っているトラックスのスタッフ(杖)。
こうした装備で、夏の一泊二日山小屋泊登山を楽しんだのだった。
山と万年筆は、相性が悪い。気圧の変化にインク漏れが激しいのだ。それでもぼくはいつもこれ。ロディアのノートにペリカンの子ども用万年筆(ペリカーノ・ジュニア)。ファンクションよりハート。機能より気持ち!
「山頂でご来光を見よう」という誘いに、「いやだ。暗いうちから起きだして歩くなんて」とだだをこねたが、はるか北アルプスの山塊から朝日が昇ってきたときには、思わず声をあげてしまった。早起きは、やっぱり得をするのだ。