堀田貴之の柿渋工房

堀田貴之の柿渋工房

天然素材との付きあいは、愉しい。 重いし、使い続けるには手間隙がかかるけど。 いうまでもなく、使い込むほどに味が出る。 素材に体温を感じるんだよな。

ワイルドワンのガレージブランドであるテンマクと共謀して、柿渋染めのジャケットを作ったのは、2018年のこと。 『Ramblin’ Jack Jacket(ランブリンジャック・ジャケット)』という名前で、限定販売した。 そ […]

ワイルドワンのガレージブランドであるテンマクと共謀して、柿渋染めのジャケットを作ったのは、2018年のこと。
『Ramblin’ Jack Jacket(ランブリンジャック・ジャケット)』という名前で、限定販売した。

その話は、以下の二話に書いた。
◆Ramblin’ Jack Jacket ~ 転がり続けるためのジャケットができあがった
https://blog-hotta.wild1.co.jp/?p=4958

◆「手仕事日本」と呼びたくなる柿渋染め体験
https://blog-hotta.wild1.co.jp/?p=4991

興味のある人は、読んでみてください。

このジャケット作りの数年前(2010年あたり)からはじまった僕の柿渋熱は、いまだ冷めず続いている。
熱しやすく冷めやすい僕としては、異例の事態だ。
で、今でもことあるごとに柿渋で染めたり塗装したり、の日々だ。

柿渋は、防水、防菌、防腐効果、それに耐久力強化といった特性をもっている。
古くから、酒袋、漆器、布、木、竹、紙、型紙、漁網、釣り糸、ロープ、家具、建築材、船、傘、うちわなどなど、多くの人に愛され、広く使われてきた素材なのだ。

ヒノキで作った宝箱。柿渋を3回塗り重ねることで、思った通りの色に。

昨年には、棚と宝箱を作ったので、柿渋で塗って仕上げた。
3回の重ね塗りで、思い通りの色に。
そういえばネジの部分が黒ずんだ。金属との化学反応で黒ずんだようだ。
これで学んだのは、鉄分を加えることで黒っぽい柿渋塗装ができるぞ、ということだ。

フェルトの切れ端やバッグなど、手当たり次第の柿渋染めの日々である。

また、古い麻のジャケットとコットンのサコッシュ(ショルダーバッグ)。
どちらも、長く使ってきたので汚れがある。
ジャケットは、胸に小さなトマトソースの染み。バッグは、コーヒーをこぼしてしまい、がっつりと汚れていた。
この二つを柿渋で染めることで、染みがまったく目立たなくなったのだ。

ボブ・ディランのライブ会場で買ったショルダーバッグも、ごらんのとおり。

これは、サンフランシスコの出版社でもあり本屋さんでもる「CITY LIGHTS(シティライツ)」で買ったオリジナル・サコッシュ。1950年から60年代に、ジャック・ケルアックやアレン・ギンズバーグなどビート作家が夜な夜な集まった本屋さんだ。

長年の使用で黄ばんだり染みが着いたシャツやズボンも、柿渋で染めればまだまだ現役で使えるではないか!
生地も丈夫になるし。
ありがたい発見だ。小さなSDGsだ。

ノースフェイスのラフィア椰子素材(100%)の帽子。丈夫にするためか、かなりの下処理が施されていたのだろう。なかなか染まらず苦労した。夏までには形を整えて、完成させたい。

わが家の一番でかい鍋(直径約70センチ。大量のうどんを茹でるための鍋だ)で、生地を煮て、下処理を。染まりやすくするためには、大事な工程だ(と、今回知った)。

最近では、日暮里の繊維街へ出向き、きばた4号のごついコットン生地を買ってきた。
この生地を柿渋で染めて、オーダーメイドの帽子と、オリジナルデザインのメッセンジャーバッグを作ろうと思っている。
というわけで、生地の下処理をしたり(これが意外と大変)、染めたり、の日々である。

ずっと前に買った麻100%のジャケットも、ごらんのとおり。小さな染みがわからなくなり、よれよれになってた生地が固く丈夫になった。これで、まだまだいける。

約1メートル四方のきばた4号のごついコットン生地をなんとか染めてみた(むらむらだけど、これも味である)。帽子やメッセンジャーバッグ、それからそれから。あとは、なにを作るかな。

いずれにせよ、これらの作業を繰り返すことで、僕自身も防水、防菌、防腐効果、それに耐久力を強化し、多くの人に愛される身となれればいいのだが、、、、

KAVUの古い古いパンツとシャツ、それにグラミチとプラナのパンツ(すべてMade in U.S.A.時代のもの)が、クロゼットから出てきた。どれもが20年以上も前のもので、シミや汚れがある。これらも染めて、現役に復帰させよう。古いものを捨てない暮らしだ(「こんまり」にバレたら呆れられるだろうけど、、、)。
わが柿渋工房は、これからもしばらくはフル回転営業中である。