突然、「山行こ! 山行こ! いっしょに山行こ!」
てなメールが、広島の古い友人からさまよいこんできた。
「○月○日の夕方。白峰温泉、御前山荘で待ってます」
だとさ。
急なことではあるが、美人の誘いを断るわけにはいかない。
というわけで、梅雨が明けたばかりの七月末。ふたりの女性と白山(はくさん)へ行ってきたのだ(河口志津&加藤智子。誘ってくれて、ありがとう)。
白山山麓の温泉宿に前泊して、山登りは山小屋利用の一泊二日という行程。
白山は、石川県白山市と岐阜県大野郡白川村にまたがる標高2,702mの山。日本百名山とか、新・日本百名山とか、花の百名山とか、新・花の百名山とかに選ばれている。また、富士山、立山とともに日本三霊山のひとつでもある。
その数々の称号を知ると、なにひとつ自慢できるものをもたないいやしい身分のぼくとしては、「けっ!」といいたくなるけど、山に腹を立ててもしょうがない。それらは、白山のせいではないのだから。
ま、そんなことより、ここでは一泊二日の山小屋泊登山の装備を紹介しよう。
今回、初使用アイテムは、ブーツ。
今春、日本に上陸した「Oboz(オボズ)/トラバースミッド」(女性用モデル「ノバ」もあり)。このモデルのカテゴリーは、ライトトレッキングシューズだ。日帰りや山小屋泊での1泊、2泊ぐらいにちょうどいい(というわけで、今回の山行にはぴったりのチョイス)。
街での試し履きしかできなかったけど、足を包む感じがしっくりきていたので、不安なくこの靴を履いていった。
ありがたかったのは、アウトソールのグリップのよさ。「あやういかな」と思っても、しっかり地面をつかんで滑らない。Obozオリジナルのアウトソールのグリップ力には、何度も助けられた。
また、立体成型されたインソールが標準装備なのもうれしい。ぼくはふだんスーパーフィート(インソール)をどんな靴にも入れて使っているけど、標準装備のObozオリジナルのインソールは、高価なスーパーフィートなみに、ヒールをしっかりホールドしてくれ、土踏まずのアーチを支えてくれる。
もっと上級モデル(縦走用ハイエンドモデル)を履いて長い旅へ出てみたい、と思わせるブランドだ。
ぼくにとって、お気に入りの靴がまたひとつ増えた。
基本的な装備は、夏の山小屋泊なのでかなり少ない。
そこで、ホットサンドメーカーを持っていくことにした。ふたりの女性を前にちょっとばかりいいところを見せよう、と考えたのだ。
ホットサンドメーカーはご存じ、ぼくとテンマクのコラボレーションで生まれた「タルサタイム/マルチホットサンドメーカー」。「まるほ」印の、あれだ(みんな、知ってるよな?)。
夜と翌朝のご飯は山小屋にお願いしたので、登った日の昼を豪勢に過ごそうと考えたのだ。
ホットサンドを焼くためのストーブは、「SOTO/ウインドマスター」。風に強く、故障がない。信頼のおけるストーブである。
それにホットサンドをおいしく食べるための赤ワインを「プラティパス/プラティプリザーブ」に入れてきた。この水筒、効能うんぬんより「ワイン専用」というきっぷのよさがうれしい。
それを飲むのは、オリジナル椰子の実カップ(南の島で拾った椰子の実を削り作ったら、群馬の良ちゃんがそれに漆を塗ってくれた)。
そして、前回に紹介したウッドテーブル「シエルブルー/U.L Rolltop Table」も、もちろん持ってきた。昼食の場所はテーブルとベンチがある場所だったので、残念ながら今回は出番がなかった。が、こうした「粋」な道具は持ち歩くこと自体が楽しいから、それはそれでいいのだ。
(つづく)
※次回「夏の山小屋泊一泊二日全装備」後編は、8月20日(水)更新予定。