3月初旬は、まだまだ中途半端な季節である。春かと思えば、一転して冬の気圧配置になることも。
しかも、山にはまだ雪が残っている。高山では、冬山の様相である。
川の水も冷たい。雪解けが入ると、とんでもなく増水する。しかも、水温はさらに下がる。
湖も海も、気軽に水遊びができる温度ではない。
しかし。
いま遊ばなくて、どうするのだ!
日本は南北に長く、でこぼこの国である。
北海道はまだまだ冬の様相だが、沖縄ではすっかり初夏である。
いいかえれば、いまこそいろんな状況が楽しめる季節なのだ。
僕がいちばん好きな山行は、この季節のテレマークスキーを履いての山旅である。
天気も安定しはじめる。パウダースノーはもちろんないが、雪は落ち着き、歩きにも滑りにも最適だ。もっとも油断するととんでもなく滑りにくい雪の状態にも出くわす(それもまた、この季節の楽しみの一部だ)。
また、水温が低い時期に川下りをすると、カヌーの原点を教えてもらうようだ。
なんたって、アメリカ大陸北部の気温も水温も低い土地で生まれた乗り物だ。
気温も水温も低いからこそ生まれてきた機能なのである。
(30年ほど前には、真冬の釧路川を下ったりもしたが、最近は歳とともにそれほど過激じゃなくなった。残念ながら)
シーカヤックも同じだ。気温水温がともに低い土地で生まれた乗り物である。
だからこそいまの季節に川を下ったり、シーカヤック旅へ出ると、その歴史に襟を正す思いとなる。
と同時に、沖縄の海を漕げば、ザトウクジラが迎えてくれるのもこの季節だ。運がよければ、すぐそばを泳ぐクジラに遭遇することができる。
というわけで、この季節に出かけるとなると、いろんな道具が必要となる。
たとえば、山へ行くならテレマークスキー道具一式とそのウェア類。下山後のけだるい昼下がりを過ごすためのアロハシャツやビーチサンダルも必要となるのだ。
そんなこんなから、3月の僕の車には、春夏秋冬の道具が積みこまれている。
南北に長くでこぼこのこの国に感謝しつつ、春はとことん『外遊び』に暮れようではないか!