水出しコーヒーはじめました(ついでに、真空管アンプのことも)

水出しコーヒーはじめました(ついでに、真空管アンプのことも)

家で過ごすことが多くなった。 そして、日本の夏がやってきた。 時間をかけて淹れる「水出しコーヒー」の出番なのだ。

東京の、西のはずれのわが街は、連日30度近い暑さが続いている。 あるいは、梅雨のじめじめか。そんな日々だ。 そこで、「水出しコーヒーはじめました」という看板を書いてみた。 とはいえ、販売するわけではない。今夏も、自分用に […]

東京の、西のはずれのわが街は、連日30度近い暑さが続いている。
あるいは、梅雨のじめじめか。そんな日々だ。
そこで、「水出しコーヒーはじめました」という看板を書いてみた。
とはいえ、販売するわけではない。今夏も、自分用に水出しコーヒーを作りはじめることにした、というだけのこと。

水出しコーヒー用ウォータードリッパー(水出しコーヒー器具)は、ひとしずくの水が、ゆっくりと挽いたコーヒー豆に、「じり」、「じり」、と落ちていく。
水琴窟に落ちていく水滴のように。
水滴速度は調整できる。1秒間に3滴ぐらいがいいという人もいれば、1秒1滴がいいという人も。僕のお気に入りは、2秒にひとしずくだ。
いずれにせよ、一杯のコーヒーを作るのに、2時間から6時間ぐらいかかるのだ。
じっくりコーヒーが落ちるのを待つのも、暇人(閑人という方が文学的かな)ならではの愉しみである。

ガリレオ温度計によると、朝7時の室内気温は、すでに24度C前後。で、ウォータードリッパーで抽出した深煎りコーヒーをいただきます。

そういえば、トマト栽培の農家の人から「畑にBGMを流すことで、トマトが甘くなる」と、聞いたことがある。
日本酒の醸造所では、「発酵の段階でクラシック音楽をかけることで、まろやかさが増す」てな話も。
「そんなん思い込みに決まってるやろ」という声も聞こえてくるけど、作り人の個人的な気持ちがじわじわ伝わってくるので、僕はこうした話が好きだ。

ソニーのオールドスピーカーの横で、時間をかけて水出しコーヒーができていく。
いまは、J.J.ケールの気だるいリズムに合わせて、「ぽた」「ぽた」とコーヒーが落ちていく。

そこで、ウォータードリッパーは、スピーカーの横に置いている。
アンプは、真空管。
この真空管アンプは、自作キットを何日もかけて作ったやつ。
パソコンの中を探ったら、この真空管アンプを作ったときの話が出てきた。
真空管アンプを作ったときの話は、一晩中かけても語りきれないほどの苦労があったので、またいつか機会があれば、、、
外付けハードディスクの中に、写真も残っていたので、ちょっとばかりここにも載せてみるわ。
写真のデータから、2005年の12月に作りはじめ、年をまたいで2006年の1月に完成、ということが判明した。

この真空管アンプを作るために、100箇所以上もハンダ付けをした。もう15年も前の話だ。慎重に繊細にハンダ付けをしながら、「わが人間性が変わってしまうんじゃないか」という思いを抱いたことが、忘れられない。

その真空管アンプに、ソニーのオールドスピーカーを繋いでいる。
が、音源は、iPad内のiTunes。
ブルートゥースでアンプに飛ばしている。ハイブリッドなのだ。
「真空管アンプを使う意味があるのか?」てな声が聞こえてきそうだけど、このシステムも音も気に入っているので、これでいいのだ。
なんたって、「色っぽい」のである。真空管アンプとオールドソニーから出る音は(もちろん、これもまた大いなる思い込みである)。
アナログレコードはもちろん大好きなんだけど(それにLPレコード盤もいっぱい持っている)、レコードプレイヤーが壊れてしまい、買い替える勇気がまだ湧いてこない。

一昨日は、わがiTunes内のマイルス・デイビス(1950年代後半から60年代はじめのモーダルな演奏)を流しながら、水出しコーヒーを抽出。
昨日は、ロバート・ジョンソン(1936年と37年に録音された29曲42テイク)。
今日は、ボブ・ディラン(トタン屋根に降りつける激しい雨のようなサウンドだ)。

で、その味は、、、、
「違いのわからない男」に、その差がわかるはずもない。
残念ながら。

いずれにせよ、今年の猛暑(たぶん)を乗り切るために、「水出しコーヒーはじめました」。
閑人は、飲みに来てくれ!

コーヒーは、横浜根岸「スリーペンギンズ」の焙煎。深煎りだ。
最近のお気に入りは、「ブルンジ・レッドブルボン」。ただし、これはハンドドリップで淹れるホットが僕の好み。今日の水出しコーヒーは、ブラジル。