「根気」と「忍耐」を、母親の胎内に忘れたまま生まれ出てきたわたくしである。
なので、こつこつと物を作るのが、ほんと苦手だ。
でも、人は自分が苦手なことにあこがれを抱くようで、手仕事でものを作る人をいつもまぶしい目で見てきた。
そんな人たちを見ていると、「僕にもできるんじゃないか!」と勘違いしてしまうのだ。
そして、試してみては失敗する、という行動を繰り返してきたのだ。
しかし、「失敗は成功の基」という言葉もあるように、ときには成功もある(ほんのときどきだけど)。
で、たまに成功するもんだから、うれしくなってつぎを作ってまた失敗して、懲りずに次を作ってまた失敗。と、やはり失敗を繰り返すのであった。
道具を手作りする人たちの中には、「欲しいものがないから自分で作る」という人も多い。その気持ちもよくわかる。
ただ僕の場合の手作りは、どうらやそうでもないようだ。
はじめに書いたように、やっぱり道具を自分で作れる人に圧倒的にあこがれているのである。
こうして、わが「手仕事」人生は失敗を重ねながらも、細々と続いているのである。
というわけで、ここでは過去の成功のいくつかを見せびらかそう(自慢げに)。
遠い昔のある日の南の島。流木を拾い集め、ギタースタンドと譜面台を作ってみた。それ以来、僕は流木アーチストを名乗ることになったのだ。
無垢の青ダモの一枚板から、カヌー用のシングルパドルを作ったこともあった。
そういえば、本棚も作った。
木のカップやスプーンも、コースターも作ったぞ。
iPhoneのバンブースピーカーも出色のできだ。
つい最近では、組み立て式ベンチも。
そして、いまはSUP(スタンドアップパドル)用のパドルを作っている。
と、こうして書き出してみると、なにやらいろいろ作ってきた人みたいである。
しかし、いうまでもなくこの何百倍もの数の「日の目を見なかったもの」があるのだ。
いつまでたっても、日曜大工の域を出ないわたくしである(工具ばかりが、いつの間にか増殖していった)。
そして、いまも頭の中にはつぎなる構想がいっぱいある。
乞う、ご期待!