TVのサッカー中継で、「Backseat Player」という言葉を聞いたことがある。
直訳すると「後部座席の選手」ということだが、たんなる控え選手というよりは、もうちょっとポジティブな意味らしい。控え選手でも、彼がベンチにいてくれることでチームの士気が上がるとか、そんな感じだろうか。
名脇役とか、黒子とか、という意味なのだろう(たぶん)。
『スーパーフィート』のインソール(中敷き)をブーツに押し込むたび、ぼくはその言葉を思い出す。
ぼくはこの「Backseat Player(スーパーフィート)」のおかげで、いまもなお歩き続けていられるのだ。
で、この秋からのトレッキング季節を前に、スーパーフィートのカスタムメイドのインソールを作りかえることにした。
前にもカスタムインソールを使っていた(ベーシックシリーズも併用していた)が、そろそろ限界だろう、と新調したのだった。
自分の足に合わせて作るカスタムメイドのインソールは、指定された専門店じゃないと、作ることができない。
さっそく、「WILD-1」多摩ニュータウン店へと出向いたのだ。
20年以上前、ひざ痛に悩まされていたことがある。激しいスポーツはもちろんのこと、山歩きでも、とくに下りが続くと、右ひざが悲鳴を上げてしまうのだった。
サポーターを巻いたり、キネシオテープを貼ったり、サポートタイツを履いたりで、ごまかしてきた。
もちろん、ストレッチやひざまわりの筋肉をつけることもやってみた。
そんなある日、友人から「スーパーフィート」というインソールをすすめられた。
当時すでに、自分の足にあわせて作ったあるメーカーのインソールを使っていたのだ。
自分の足に合ったインソールを使うと、疲れが軽減される。それに、靴擦れが少なくなる。
そんなことから、自分の足型にあわせたインソールを作ったのだ。
しかし、スーパーフィートのインソールは、もう一味違う。足回りの安定はもちろんのこと、足骨格の不要なねじれを補正し、ひざなども安定させる、というのだ。
で、さっそく作ったのだ。
このインソールを入れた当初は、違和感がいっぱいだった。靴の中に、なにやら異物が入っているようだった。それが骨格のねじれ補正だったのかもしれない。
不思議なことに、ひと月ほど履き続けると違和感がなくなり、そしてひざの不安が消えていた(まったくなくなったわけではないが、ほとんど消滅した)。
もっともこれはぼくの体験談であって、万人に通用する話ではない。スーパーフィートを使ったからといって、すべての人の足の不安が解消するわけではないだろう。
ただ、ひとつだけはっきりいえるのは、「靴を慎重に選ぶのと同様に、インソールもまた真摯に選ぶべきだ」ということである。
インソールは、人からは見えないところで、今日もがんばってくれているのだ。
そういえば、「Backroom boy」という言葉も、聞いたことがある。
世間に知られず、ひとりがんばっている男だ。「Backseat Player」と同じような意味だろう(たぶん)。
また、古いブルースに「Backdoor man」という歌がある。
こちらは、「裏口の男」。亭主のいない間にこっそり出入りする男(間男)という意味だ(たぶん)。
「Backseat Player」も「Backroom boy」も「Backdoor man」も、ちょっとばかり陰りはあるけれど、かっこいい男たちなんだよ。きっと。