2017年3月9日、『一人を楽しむ ソロキャンプのすすめ』(技術評論社)という本が発売になる。
なんのことはない、僕が書いた新刊である。
そこで今日は、「著者みずからが自分の本を紹介する」というのに挑戦してみようと思う(「書評」を、と思ったけど、やっぱり自分で「評」は書けない……)。
『バックパッキングのすすめ』(地球丸)という本を書いたのが、1997年のこと。
それから、20年が過ぎた。「20年」というのは、まったく偶然の数字だ。
20年たったから新刊を書こうとしたわけではない。
今回、『ソロキャンプのすすめ』を書くにあたって、もう一度『バックパッキングのすすめ』を読み返してみた。
自分で書いた文章を、しかも20年も前のやつを読み返す。これは正直、しんどい作業だった。
が、なんとか客観的に読みとおすことができた(体よくいえば)。
僕としては、新刊は『バックパッキングのすすめ』の改訂版、というか続篇、という位置づけで書きはじめたのだ。
20年も前に書いた内容は、書きなおすべきところが多いだろうな、と思っていたのだ。
もちろんのこと、「書きなおすほうがいいな」というページと、「いまも同じ気持ちだな」と思うところが入り混じっている。
そんな箇所に、赤鉛筆で線を引いていった。
と……。
僕自身もほんとうに不思議だったのは、「このままでいいな」と思ったページのほうが、圧倒的に多かったことだ。
ま、僕に進歩がない、ということかもしれないけど。
アウトドアグッズに関しては、新しいものが毎日のように登場している。
でも、「バックパッキングの旅」、あるいは「ひとり旅」というのは、精神世界の遊び要素が大きいから、道具に支配されることが少ない。
便利な道具が登場しても、旅人の気持ちはかわりようがないのかもしれない。
「旅」という「遊び」は、勝ち負けやスピードを競うものではない。
ある意味では、成功も失敗もない。たとえ目標を達成できなくても、旅へ出ないよりは出たほうがよかったはずだ。
旅は、心の状態が満足することで、成就する。
なので、旅の途上でiPhoneがあるとたしかに便利だけど、「(あるのとないのと)どっちが愉しい?」と考えると……。
答えは、いうまでもない。
ひとり旅というのは、「不便を愉しむ」人たちのものかもしれない。
新刊『一人を楽しむ ソロキャンプのすすめ』は、そんなことを書きたかったのだ。
ひとりでも多くの人が、この本を愉しんでくれるとうれしいです。