新年を迎えると、いろんな人がいろんなことを言いはじめる。
「今年こそは、〇〇するぞ!」といった具合に。
「抱負」だとか「誓い」とかには無縁の僕だが、まわりからはさまざまな声が聞こえてくる。
ある人からは、「凝り固まった自分の『モノサシ』をもっと柔軟に、未来につながるように変えてみろ!」と、言われた。
さすが、知識人と思われるお方は、いいことを言う。
いま話題の「プラスチックゴミ」のことを杞憂しての、意見だろう。
素直な僕は、さっそくモノサシを変えた。
プラスチック製のものはやめ、古くから持っていた竹の30センチ定規を使うことにしたのだ。
すると今度は、「自分の『引き出し』を増やせ。そうすれば、さまざまな状況に対応できるタフさが生まれる」という声が聞こえてきた。
そうか。ちょうどいいではないか。引き出しが欲しかったのだ。
素直な僕は、さっそく引き出しを作ることにした。
もちろん、木材に線を引くのは竹のモノサシを使って。
今年のわが工房のデスクトップに、ボブ・ディランの日めくりカレンダーを置いた。
元旦からディランの詩の断片が、毎日、語りかけてくるのだ。
日めくりだから、毎朝、1枚をちぎるのだが、ちぎったページを捨てるのはしのびない。
そこで、ちぎった日めくりを収納するためのボックスを作ることにした。
で、どうせなら、と引き出しにしたのだ。
こうすれば、日めくりカレンダー置き、としても使える。
こうして、片づかないわが机の上に、またまたものが増えた。
でも、ま、いいではないか。
日々、引き出しの中には、言葉がたまっていくのだから。
それらの言葉は、意味がうまくつかめないのもあれば、心に突き刺さってくるものも。
言葉というものが、人生の役に立つかどうかはわからないけど、かさかさに乾いた冬の肌に、オイルのように染み入るときもある。
いずれにせよ。
新年早々、いい引き出しがひとつ増えた!