「この町の職人さんは、くせ者ばかり。ひそかに『燕ラストサムライ』と、ぼくらは呼んでます」と、ユニフレーム事業部の事業部長・田瀬明彦さん。
頑固な職人気質のラストサムライと、日々つきあいながら、商品を作り続ける。
職人の確実な技術。ユニフレームの「真似はされても、真似をすることはない」というポリシー。
お互いの長所をとことん出し合うことで、独自の商品開発を進めているのだ。
燕市と三条市は、古くから金属加工を中心に栄えた町だ。燕は「職人の町」、三条は「商人の町」とも称される。
そんなこんなも、ユニフレームでいろんな話を聞くうちにわかってきた。
「職人さん相手に、『ぽん』と註文書を出してもだめなんです」
都会で商品企画を進めるいくつかのメーカーは、机の上で考えた商品の書面をもってやってくるらしい。しかし、職人さんたちには相手にされないことも多い、という。
では、どうしてユニフレームの企画は職人さんたちに受け入れられるのか……。
どうやら、地元の企業だから信用されている、という単純な構図でもなさそうだ。
それは、会社(株式会社新越ワークス)としての姿勢がいさぎよいからなんだろう。
雇用の促進と、税金を払う。地元のためにわれわれの企業がある、という考えにぶれがないのだ。
「もの作りの三本柱は、『品質・価格・供給』」
「『工芸品』ではなく、『工業製品』を作りたい」
「真似はされても、真似をすることはない」
「雇用と税金」
なるほど。
いくつかのキーワードを眺めていると、数多くのヒット商品を生み出してきたことも、うなずける。
今回、ユニフレームを訪れ、商品開発の話を聞き、実際にその商品を見て、触ったことで、わが物欲心がうごめきだした。
生地をバイアスに取りつけることで寝心地をアップさせた「リラックスコット」。
おいしいご飯を炊くための「羽釜」。
それと、これはユニフレームの商品ではないが、新越ワークスが手がける「ペレットストーブ」(このストーブなら、東京のはずれに住むぼくの家でも「炎」が見える生活を送れそうだ)。
まずは、耐火レンガを積み上げてかまどを作ってみるかな。
そして、そのかまどに羽釜をセットして、白米を炊く。
「ぐつぐつ、ことこと」と、ご飯が炊ける音を聴きながら、リラックスコットでシエスタ。
いい夢が、見られそうだなぁ。