友人のまじ(真島辰也)さんは、なんでも自分で作ってしまう。
大きなものは、たとえば家。それに小物なら、革や布でバッグやケース。服までも。
コーヒーの焙煎も自分でする。はたまた、アップルパイまでも作ってしまうのだ。
まじさんの作ったアップルパイが、これまたうまい。甘さと酸っぱさが同居している。若い情熱と成熟した思考が、パイ生地に包まれているのだ。
ティーンエイジのときのあの子との夜や、つい先日の昼下がりのデートが、同時に思い出される味なのだ(ま、それはさておき)。
そんなまじさんの工房で遊んでいると、つぎつぎと制作意欲が湧いてくる。
木はもちろん、布や革も。
この材をもらって○○を作ってみようかとか、あれをこうしてこれをああしてこっちをこうしてとか、へんなギターも作ってみるかとか。
そんなことを考え出すときりがない。
これからの人生のすべてを「手作り」に費やしても時間が足らないだろうな。
まじさんは、ときどきワークショップをやっている(ぼくのイベント『ムササビの夜』や『ウラヤマ・フェス』でもワークショップを毎回やってくれている)。
そこで、革細工や帆布を使った小物の作り方を教えている(大人気のワークショップだ)。
最近は、「モーラナイフのシース」や「スタンレーボトルのストラップ」作りワークショップを各所でやっているらしい。
というわけで、それらの端材などなどをもらって帰り、わが家で「こつこつ」と夜なべをしている日々である。
なんとか、オリジナリティを混ぜ込みながら。
まずは、スタンレーボトル0.47Lのストラップを作ってみた。
1本の糸の両側に2本の針をつけ、「ぐしぐし」と縫っていくのだ。
続いて作ったのは、モーラナイフのウッドカービング用ナイフ120のためのシース。
変な力が入るわ、手に針先が刺さるわ、細かいところは見えないわ……。
で、肩こりな時間が過ぎていく。
しかし、下穴をしっかり開けているのに、どうして縫い目が暴走するのだろう。
明日なき暴走である。人生の不思議である。
でも、暴走はしてもなんとかできるもんだ。暴走も味のうちだ。
もちろん、実用レベルにはなんの問題もない。
この先、使い込むほどにさらなる味が出るだろう。
というわけで、ちゃんとした水筒の革ストラップやナイフのシースが作りたい人は、まじさんのワークショップに参加してみればいい。
「明日なき暴走」を望む人は、わたくしのところへ遊びにきてください。