ぼくが使っている道具やウェアは、古いものばかりになってきた。
単純な話、年のせいなんだろうけど。
過去、ぼろぼろで、捨ててしまったものもある。
ぼろぼろでも、現役のものもある。
それほど使ってなかったから、元気なものもある。
年頭に、そんな古い道具たちを眺めながめていたら、「お前ら、いつもまでも現役でいてくれよ」と思ったのだ。
そこで……。
今年からは、修理の日々を楽しむことにした。
ぼくは、道具には「二種類」ある、と考えている。
ひとつは、買ったその日がその道具のベストパフォーマンスのものだ。化学素材で作られたものが多いかな。
たとえば、ゴアテックスのレインウェア。もちろん、ぼくも着用している。
でも、使えば使うほど防水性能は落ちていく。ゆっくり、ゆっくり。これはしょうがないことだ。透湿性能も落ちていく。これもしょうがない。
そういえば、テンマクとのコラボで作ったわが「ホットサンドメーカー」も、こちらのジャンルに入る。テフロン加工は徐々に機能が落ちていくからね。
鋳鉄のダッジオーブンなどは、使うほどに使い勝手がよくなってくる。
そう、もう一種は、使うほどによくなってくる道具だ。
これは、自然素材のものに多い。
ウェアなら、着るほどに身体になじむし、色合いも「味」が出てくる。
そもそもが、機能をそれほどもっている素材じゃないから、ということもあるけど。
これは好ききらいとか、いい悪いとかじゃなく。
そこで、後者のウェアであるフィールドコートの修理だ。
30数年前に、メールオーダーで買ったL.L.Beanのフィールドコートだ。
年月とともに、いろんな箇所が擦り切れてしまった。
数年前に修理をしたんだけど、それはいわゆる「付け焼刃的」修理だったのだ。
アイロンで圧着する裾上げテープを貼ることで、修理したのだ。
それじゃだめだよな。フィールドコートに失礼だよな。
自然素材には、自然素材を。
帆布の切れ端を、ミシンで縫いつけたのだ。
とはいっても、ぼくが自分でミシンを踏んだわけだから(いまどき「踏む」とはいわないかもしれないけど)、美しくできるはずがない。
ま、暴走する縫い目も「味」ということで、許してもらうしかない。