昭和の男である僕は、エプロンと聞くと「ハイカラ」な女性を思い浮かべる。
なんせ、台所での僕の母親はいつも割烹着だった。隣のおばちゃんも、割烹着だった。
当時は、食堂のおばちゃんも割烹着だったのだ。
なので、エプロン姿の人を見るのは、しゃれた喫茶店(「カフェ」などという呼び名はなかった時代だ)か、洋食の店(レストランという言葉の出始めだ)のウエイトレスぐらいである。
もちろん一流店ではエプロンをした男の料理人も多かったのだろうけど、三流の店でしか食事をしたことのない僕には、エプロン姿の男は無縁だったのだ。
なので、エプロン姿=女性、というイメージが強い(けっして、差別的な意味ではなく)。
もっとも、古代エジプトでは男が三角形のエプロンを身につけていたらしいけど……。
いまでは、キャンプでもエプロンである。
キャンプサイトで、よく見かけるのだ。
料理を作るときに使っている人ももちろんいるが、テント設営などの作業に使う人が多い。
たしかに、実用的ではある。ポケットも大きいし、服が汚れないし。
が、キャンプを目的としたキャンプをしない僕は(キャンプは旅の手段であって目的ではない)、キャンプ旅にエプロンを持ち歩くことはない。
でもこの数年は、エプロンをよく身に着けるようになった。
最近、時間をめいっぱい費やしている「手仕事」作業のときに。
物置を作ったり、物置の中をいじったり、ギターのリペアをしたり、斧やナイフを研いだり、流木アートを考えたり。
ここ数日は、小さなキャンプ場に大きな石窯を作っている。
というわけで、エプロンが大活躍の日々なのだ。
そういえば、テンマクとのコラボレーションで、エプロンを企画したことがある。
丸(ほ)マークが入ったホットサンドエプロンで、ホットサンドメーカーがきっちり入るサイズのポケットをつけよう、という計画だった。
さらには、「キッチン・ドランカー応援エプロン」として、缶ビールサイズの断熱材入りポケットを装着するつもりだった。
ビールを飲みながら、ホットサンドを焼くために。
この企画、もう一度すすめてみようかな……。
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