インディアンバスケットという「籠」が好きだ。
ここでいうところのバスケットは、おしゃれな小物入れじゃなく、ネイティブアメリカンたちがカヌーに載せて使っていたものだ。
何世紀も前の、アメリカ大陸北東部での話だ(カナダとかアメリカとかの国境もない時代のこと)。
オープンデッキカヌーで猟へ出かけるとき、獲物を入れる籠として使っていたのだ。
柳の木で編まれたそのバスケットは、バックパックのように背負えるようストラップがついている。
獲ったビーバーだけではなく、旅の日用品道具も入れていたに違いない。
アメリカやカナダでは、その伝統的なスタイルにあこがれ、カヌーへバスケットを載せて旅へ出るカヌーイストは多い。
そして、僕もまたそのひとりだ。
僕の場合、さすがにビーバーを入れているわけではなく、旅道具を詰め込んでいる。
30年ほど前から、いくつかの伝統的なバスケットを手に入れた。
が、残念ながらいま手元に残っているのは、3つ。
もっともっと持っていたんだけど、人にあげたり、ぼろぼろになって朽ちてしまったり。
そういえば、ヒノキで作ったこともあった。薄いヒノキの材をお風呂に浸し曲げやすくして、それらしく形作っていった。
その自作のバスケットも、女の子にあげてしまった。
近々、柳の木で作ってみようかな。
フランス人に「ワイン」、ドイツ人には「ビール」(はたまた、イタリア男には「恋」と「カンツォーネ」)が絶対必要条件のように、僕にとっては「ムササビウイング」と「インディアンバスケット」はカヌー旅の必需品なのだ。