名人の「焚き火」は、ときとして芸術作品である。
薪の置き位置が絶妙で、空気の流れに無理がない。炎が美しいのだ。
酸素量の調節が見事だから、炎が美しいばかりか、むやみに大きくならない。そして、一本の薪が長持ちする。
火遊びを心得ている人は、優雅な焚き火を知っている。
これは、あくまでも直火での話だ。
焚き火台を使っての焚き火の話じゃない。
なので、残念ながら現代ではこうした美しい焚き火をほんとんど見ることができない。
焚き火台を使うと、酸素が当たり前のように供給されるから、おもしろみに欠ける。薪はどんどん燃えてしまう(大量生産、大量消費の時代を反映するがごとく)。
おまけに、焚き火が下手になる。
焚き火の初めの関門は、着火につきる。
乾いた薪と焚きつけ用のいい材(小枝や松葉、松ぼっくり、白樺の皮、アダンの葉っぱなどなど)があれば簡単だけど、条件の悪いときこそ、腕のみせどころとなる。
が、焚き火台が登場してきてからは、名人は黙って素人の火を眺めている日々だ。
でも、だれもが焚き火を簡単に楽しめる時代になった、ということでもある。
(Bright sideを見ることにしよう)
SOTOでおなじみの新富士バーナーが、おもしろい焚き火台を考えている。
(メーカーの都合により発売されない場合もあります。その際は忘れてください)
まん中に直径10センチぐらいの筒状のものを配した作りだ。ここに小枝などの焚きつけを入れるんだ、という。
なるほど。この中央の筒で上昇気流を作るのか!
煙突効果である。
効率的な空気の流れが見える焚き火台なのだ。
この仕組みなら、簡単に焚き火を起こせるだろうな。
またまた焚き火が下手になりそうである。