「一生つきあう」と決めたコート

「一生つきあう」と決めたコート

年が明けてからは、修理の日々である。 修理して欲しい人?

 ぼくが使っている道具やウェアは、古いものばかりになってきた。  単純な話、年のせいなんだろうけど。  過去、 […]

 ぼくが使っている道具やウェアは、古いものばかりになってきた。
 単純な話、年のせいなんだろうけど。
 過去、ぼろぼろで、捨ててしまったものもある。
 ぼろぼろでも、現役のものもある。
 それほど使ってなかったから、元気なものもある。
 年頭に、そんな古い道具たちを眺めながめていたら、「お前ら、いつもまでも現役でいてくれよ」と思ったのだ。

 そこで……。
 今年からは、修理の日々を楽しむことにした。

ショルダーバッグをかけるときいつも左肩にかける癖があるので、左肩だけがすり切れた。

ショルダーバッグをかけるときいつも左肩にかける癖があるので、左肩だけがすり切れた。


裾上げテープによる修理じゃ、天然素材のウェアに失礼だよな。愛情たっぷりの手の込んだ料理に、化学調味料をどばどばふりかけるようなものか。

裾上げテープによる修理じゃ、天然素材のウェアに失礼だよな。愛情たっぷりの手の込んだ料理に、化学調味料をどばどばふりかけるようなものか。

 ぼくは、道具には「二種類」ある、と考えている。
 ひとつは、買ったその日がその道具のベストパフォーマンスのものだ。化学素材で作られたものが多いかな。
 たとえば、ゴアテックスのレインウェア。もちろん、ぼくも着用している。
 でも、使えば使うほど防水性能は落ちていく。ゆっくり、ゆっくり。これはしょうがないことだ。透湿性能も落ちていく。これもしょうがない。
 そういえば、テンマクとのコラボで作ったわが「ホットサンドメーカー」も、こちらのジャンルに入る。テフロン加工は徐々に機能が落ちていくからね。

 鋳鉄のダッジオーブンなどは、使うほどに使い勝手がよくなってくる。
 そう、もう一種は、使うほどによくなってくる道具だ。
 これは、自然素材のものに多い。
 ウェアなら、着るほどに身体になじむし、色合いも「味」が出てくる。
 そもそもが、機能をそれほどもっている素材じゃないから、ということもあるけど。

 これは好ききらいとか、いい悪いとかじゃなく。

前身頃の裾は、見事なまでにすり切れてしまった。 両袖もまた、同じようにすり切れた。

前身頃の裾は、見事なまでにすり切れてしまった。
両袖もまた、同じようにすり切れた。


裾の内側に帆布を織り込んで、縫い合わせた。

裾の内側に帆布を織り込んで、縫い合わせた。

 そこで、後者のウェアであるフィールドコートの修理だ。
 30数年前に、メールオーダーで買ったL.L.Beanのフィールドコートだ。
 年月とともに、いろんな箇所が擦り切れてしまった。
 数年前に修理をしたんだけど、それはいわゆる「付け焼刃的」修理だったのだ。
 アイロンで圧着する裾上げテープを貼ることで、修理したのだ。
 それじゃだめだよな。フィールドコートに失礼だよな。
 自然素材には、自然素材を。

 帆布の切れ端を、ミシンで縫いつけたのだ。
 とはいっても、ぼくが自分でミシンを踏んだわけだから(いまどき「踏む」とはいわないかもしれないけど)、美しくできるはずがない。
 ま、暴走する縫い目も「味」ということで、許してもらうしかない。

修理後の左肩は、こんな感じ。暴走する縫い目である。

修理後の左肩は、こんな感じ。暴走する縫い目である。


新旧フィールドコート。左ふたつがL.L.Bean。右はフィルソン。

新旧フィールドコート。左ふたつがL.L.Bean。右はフィルソン。