Paddle Your Own Canoe

Paddle Your Own Canoe

思い起こせば、僕はシーカヤッカーを名乗っていたころがあった。 カヌーイストを気取っていたこともあった。 こう見えても、パドルを手にいろんなところを旅してきたのだ。

 道具というのは不思議なもので、それを使う人間は僕ひとりなのに、知らぬ間に増殖していく。  たとえば、わが部屋 […]

 道具というのは不思議なもので、それを使う人間は僕ひとりなのに、知らぬ間に増殖していく。
 たとえば、わが部屋の片すみには、パドルが何本も立てかけられているのだ。シングルパドルも、ダブルパドルも。

 海外はもちろん、日本でも、いまではいろんなフィールドでカヌーやカヤックが気軽に楽しめるようになった。そのフィールドに見合ったレンタルカヤックがあったり、ガイドサービスがあったり、と便利になってきた。
 そうした現地のアウトフィッターを利用することで、カヤックやカヌーといった「大物」道具を持っていかずとも楽しめるようになったのだ。
 もちろん、PFD(ライフジャケット)やパドルなど周辺道具一式も借りることができる。

いつも旅を夢見られるよう、部屋に数本のパドルを飾っている。一年に一回ぐらい、飾るパドルを入れ替える。

いつも旅を夢見られるよう、部屋に数本のパドルを飾っている。一年に一回ぐらい、飾るパドルを入れ替える。

 が、カヤックやカヌーの旅にさらなる充実度が欲しければ、パドルだけは自分のものを持っていくといい。
 艇(カヤックやカヌー)は、その性能があるレベル以上のものであれば、どんなモデルでもなんとかなる。だが、パドルはそうはいかない。
 簡単にいえば(あるいは、乱暴にいえば)、雨具の色やサイズが少々自分に合ってなくてもなんとかなるけど、トレッキングシューズのサイズが足に合ってなければ、山旅は苦痛でしかない。
 パドルは、靴まで厳密なものではないけど、「相性」とでもいえばいいのだろうか、いつも手にしているものだけに、好き嫌いによってその旅の印象はずいぶんとかわってくる。
 向かい風や大きな波など、とくにつらいパドリング時には、ついついパドルを呪いたくなってくる。「いつものパドルなら、もっと楽なのに」と。

川では「インディアンストローク」というちょっと変わったパドリングが好きだ。なのでパドルの持ち方も特殊。そのやり方をここに書くと三日三晩ぐらいかかってしまうので、知りたい人は川で会ったときに声をかけてください。

川では「インディアンストローク」というちょっと変わったパドリングが好きだ。なのでパドルの持ち方も特殊。そのやり方をここに書くと三日三晩ぐらいかかってしまうので、知りたい人は川で会ったときに声をかけてください。

 

川で使っているシングルパドル各種。ビーバーテイルが中心だ。一本気(木)で裏表がない(そういう男になりたいものだ)。左はタモ材から自作したやつ。

川で使っているシングルパドル各種。ビーバーテイルが中心だ。一本気(木)で裏表がない(そういう男になりたいものだ)。右はタモ材から自作したやつ。

 そういえば、カナダのユーコン川、アラスカのグレイシャーベイ、それにメキシコのバハ半島を巡ったときのこと。
 空港での入国審査のとき、パドルを持っていると、僕が「何者」かが相手(入国審査官)にすぐ伝わる。
「こいつは、日本からはるばるユーコン川を下りに来たのか」と、いったふうに。

 アロハシャツで、ペラペラのサンダルで、バックパックひとつで、ひとり旅で、とたいていの国際空港では厳正な荷物検査を受けてきたぼくだが(ときには別室に呼ばれたりしたこともあったが)、パドルを手にしているだけで、「Have a good trip !」などと笑顔で受け入れられるのだった。
 カナダやアラスカなどある種の空港では、パドルはパスポートなのだ。

シーカヤックで使っているダブルパドルは、このあたりが中心。一番下は、100日近くかかった北海道一周旅や、沖縄から奄美大島へのアイランドホッピングで使ったもの。アクアバウンドの創設者ジョー・マトゥスカからもらった大事なパドルだ(もう、ぼろぼろだけど)。

シーカヤックで使っているダブルパドルは、このあたりが中心。一番下は、100日近くかかった北海道一周旅や、沖縄から奄美大島へのアイランドホッピングで使ったもの。アクアバウンドの創設者ジョー・マトゥスカからもらった大事なパドルだ(もう、ぼろぼろだけど)。

 

ニンバスのパドル(上記写真の一番上)には、友人がアザラシの絵を描いてくれた。

ニンバスのパドル(上記写真の一番上)には、友人がアザラシの絵を描いてくれた。

 

セーリングカヤックでは、海でもシングルパドルを使う。

セーリングカヤックでは、海でもシングルパドルを使う。

 今回のタイトル「Paddle Your Own Canoe」は、「自分のことは自分でやれ」という意味の英語のイディオムから拝借した。
 僕が思うパドルとは……。
「武士でいえば刀。シェフでいえばフライパン。
やたらと振りまわすやつに、名人はいない」

北海道の「インディアンカヌークラフト」松原秀尚が作ったアリュートモデルのワンピースパドル。高いポテンシャルをもつ。

北海道の「インディアンカヌークラフト」松原秀尚が作ったアリュートモデルのワンピースパドル。高いポテンシャルをもつ。

 

 最近はまっているSUP(スタンドアップパドル)では、ビックスポーツの2ピースとスターボードの3ピースモデルを、状況に合わせて使い分けている。


最近はまっているSUP(スタンドアップパドル)では、ビックスポーツの2ピースとスターボードの3ピースモデルを、状況に合わせて使い分けている。