昨年の秋から、ひょんなことでミシンに夢中だ。
発作的に、ごっつい帆布や革を使ったバッグを作りたくなったのだ。
そこで、メイド・イン・山形の「ベビーロック/エクシムプロ EP9400LS 極(きわみ)」というミシンを買ったのだ。
このミシンは、厚手の帆布はもちろん、革も縫える。
とはいっても、ミシンの経験があるわけではない。高校生のころ、ジーンズの裾上げをやって以来のミシン作業である。
ま、考えるよりは作ってみることだ。
「見るまえに跳べ」である。
と、いきなり帆布で、小さめのトートバッグを作ってみた。
いやはや。縫い目は「明日なき暴走」である。しかも、バッグの左右がシンメトリーじゃないぞ……。
それでも、実用に耐えるバッグができあがったのだ。
で、調子に乗ったぼくは、わが部屋を「HOOKY(フーキー)匠鞄工房」と名づけ、つぎつぎとバッグを作りだしたのだ。
「匠」などと自分で名乗るのは、自信のない証明である。
「元祖」やら「本家」やら「教祖」やら「日本で一番おいしい」やら、とみずから名乗るところに、碌なところはない。
ま、それはともかく……。
オーソドックスなトートバッグをはじめ、お袋の古い帯でバッグを作ったり、革と帆布の組み合わせで作ってみたり。
ひとつだけ決めたのは、「一点ものしか作らない」ということ。同じものは二度作らないということだ(二度と作れない、という噂もあるけど……)。
わが「HOOKY匠鞄工房」は、受注製作である。
発注者の意見を聞いて、デザインや色、サイズはぼくが決める。
いまのところは、作ったそばから、そのバッグを知り合いに無理やり押しつけている、といったほうが正確かな。
それでも、いまや5つものバックオーダーを抱えている(もちろん、知り合いをおどしたりして注文を受けただけだけど)。
でも、だいじょうぶ。かなりいい作品ができてきた。
縫い目が「明日なき暴走」をしなくなったら、そのときこそ『WILD-1』の店頭に並ぶかもしれない。
みなさま。乞うご期待!