神秘のカルデラ湖をSUPで歩く

神秘のカルデラ湖をSUPで歩く

静かな湖を、静かな乗り物で散歩する。 アンプラグドなSUPが似合う十和田湖。

 できそこないのクロワッサンのような湖が、秋田県と青森県の境にある。  十和田湖だ。湖のすぐ北には八甲田の山塊 […]

 できそこないのクロワッサンのような湖が、秋田県と青森県の境にある。
 十和田湖だ。湖のすぐ北には八甲田の山塊が控えている。
 夏の終わり、ぼくはSUPを担いで十和田湖へと出かけてみたのだ。
 いっしょに漕いだメンバーは、青森で各種アウトドアツアーをおこなっている『KIWI & ATCスポーツ』の横浜慎一。それに、青森在住の外遊び美人のともみ。
 ぼくたちは、観光船の船着き場がある休屋(やすみや)からSUPを出した。

 十和田湖は、カルデラ湖で水深が深く、水の透明度が高い。
 そんな湖の上にSUPで立つと、足もとのさらに下がどこまでも見え、なにやらぞくぞくする。
 ブナやダケカンバの森に囲まれた湖は、樹々の緑が湖面に写り、幻想的だ。湖上からの風景は、わくわくする。
 ともみも、この景色を前にさっきからため息ばかりだ。
 たしかに、ため息が似合う風景だ。

十和田湖へ、浸透していく。

十和田湖へ、浸透していく。

 透明度は高いが、それほど魚影を見かけない。ときどき、SUPに驚いた魚が逃げていくぐらいだ。
 聞けば、もともと魚は生息していなかったらしい。ときどき見かける魚影は、放流された魚だ。
 いまでは、イワナ、ヒメマス、ニジマス、コイ、フナなどなどが、細々と暮らしている。
 SUPは視線が高いから、魚を見つけやすい。
 が、透明度が高いにも関わらずあまり魚影を目にしなかったのは、それほど多くが生息していないのだろう。

途中には、変な岩が。溶岩(玄武岩質安山岩)で、柱が積み重なったように見えるので、「柱状節理」と呼ばれてるそうな。

途中には、変な岩が。溶岩(玄武岩質安山岩)で、柱が積み重なったように見えるので、「柱状節理」と呼ばれてるそうな。

 ときおりとおる観光船と、湖面を切り裂くジェットスキーが静けさを破る。が、それ以外は人為的な音はいっさい聞こえてこない。
 静かな湖、といえばいえるが、人がいない、ともいえる。
 この十和田湖から流出する奥入瀬渓流は、いまや青森の一大観光地となっている。
 道路は車であふれ、駐車場付近では渋滞も起きている。
 奥入瀬渓流もまた最高の場所なんだけど、いかんせん川沿いの道路に車が多すぎる。エンジン音が絶え間ないし、排気ガスにもうんざりする。この道の車規制ができないのか。そうすれば、またまた静かな奥入瀬渓流が戻ってくるのだが……。

SUPは、すっかりお気に入りとなったHALA(ハラ)のNass 12'6。

SUPは、すっかりお気に入りとなったHALA(ハラ)のNass 12’6。


小さな小さな無人島で、お昼ご飯。

小さな小さな無人島で、お昼ご飯。

 それはともかく、奥入瀬渓流に比べ、十和田湖はさびれた観光地、という感をぬぐえない。残念なことだけど。
 ぼくたちが出発した休屋には、休業中のホテルがいくつもあった。
 行政から個人まで、みんなが観光に走った時代があったから、いまになって、静かな時間が過ごせる素敵な場所があるのかもしれない。
 自然濃い地域の、生きることを観光に頼りすぎた縮図と結果が、ここにはある。

帰りがけ、休屋の酒屋さんで見つけたリンゴのオリジナル発泡酒。味わいは、リンゴの「発泡ワイン」という感じかな。さっぱりと、飲みやすい。

帰りがけ、休屋の酒屋さんで見つけたリンゴのオリジナル発泡酒。味わいは、リンゴの「発泡ワイン」という感じかな。さっぱりと、飲みやすい。

 いまごろ十和田湖は、紅葉まっ盛りだろうな。
 身体すべて紅く染めて、湖上を静かに歩きたい。
 アンプラグドな乗り物は、音を出さない。
 SUPと十和田湖は、いい関係だ。
 いまや見向きもされないし、形もできそこないだけど、おいしいクロワッサンはあるのだ。

旅の締めくくりは、湖畔のカフェでアップルパイを! ともみは、SUPよりこっちが気に入ってたみたいだが……。

旅の締めくくりは、湖畔のカフェでアップルパイを!
ともみは、SUPよりこっちが気に入ってたみたいだが……。