春の雪山と地形図の素敵な関係

春の雪山と地形図の素敵な関係

地図は素敵な読み物だ。 地形図を眺めていると、春の雪山を徘徊したくなってくる。

 3月に入ると、「うずうず」してくる。  花粉で「むずむず」ではない。  多くの人たちが春の気配を感じ、雪遊び […]

 3月に入ると、「うずうず」してくる。
 花粉で「むずむず」ではない。
 多くの人たちが春の気配を感じ、雪遊びのことを忘れだすころ、僕はテレマークスキー板を眺めながら、「どこへ行こうかな」と考えはじめるのだ。
 スキーシーズンは終わり、クローズされるスキー場も多い。しかも、山深くへ続く道路の除雪は終わっていない。
 だからといって、山へ入るのをやめるわけにはいかないんだ。
 そりゃ、リフトが動いていれば、あるいは道の除雪が進んでいれば、歩きは二、三時間ほども短縮されるだろう。でも、リフトがあるから山へ行くわけではないし、道があるから山の奥を目指すわけではない。
 その向こうへ行ってみたいから、歩き続けるのだ。
 そうなのだ。春は、残雪の山をテレマークスキーで旅するのに、最高の季節なのだ。

道から外れ、だれもいない山へ入っていく。そのことを思うだけで、幸せな気分で歩くことができる。

道から外れ、だれもいない山へ入っていく。そのことを思うだけで、幸せな気分で歩くことができる。

 さて、この春はどこへ行くか。
 そんなとき、まず眺めるのは地形図だ。
 いまでは、地形図をパソコンのモニター上で見ることできる。
 ここから歩きはじめて、このピークへ登って尾根沿いに北へ行く。で、この小ピークを越えたら東側の尾根に取りつき……。
 さらにこっちへ下っていけば、小さな集落がある。そしてそこには温泉宿があるから、そこで一泊だな。
 地形図を眺め、そんなふうに考えながら夜を過ごすと、時間はいくらあっても足らない(もちろん、ワインとチーズの消費も進む)。

4月に入っても雪に覆われた山域がある。テレマークスキーは、そんな山をどこまでも歩いて行くための道具である。

4月に入っても雪に覆われた山域がある。テレマークスキーは、そんな山をどこまでも歩いて行くための道具である。


春の雪山は、美人と行くに限る!

春の雪山は、美人と行くに限る!

 テレマーク旅では、移動距離や高度差を考えるのは当たり前だけど、もうひとつ大事なことがある。
 それは、斜面の斜度だ。
 その山には、どの程度の斜度があるのか。これを知らないことには計画を立てられない。
 と同時に、斜度を知ることで、旅への想像力は大きく広がっていく。

八甲田山の地図を眺めながら、過ごしている夜。

八甲田山の地図を眺めながら、過ごしている夜。

 25000分の1の地形図には、等高線が高度差10メートルおきに入っている。
 この等高線が、地図上の1センチのあいだに10本あると、距離250メートルで100メートルの高度差ということになり、斜度はだいたい20度ぐらいとなる。
 華麗に滑降するなら、これぐらいがいいな。などと、わがテレマークターンの姿を思い描きながら等高線を見ているのだ。
 斜度20度ぐらいで勘弁してもらいたいところだが、日本には急峻な山が多く、等高線がぎゅうぎゅうに詰まっているところが多い。1センチに20本も等高線がつまっていると斜度は40度近くになる。
 40度といえば、上に立つと斜面はまるで垂直の壁のように見える。
 アルゼンチンまで滑り落ちていくのでは、というほどの恐ろしさを感じるほどだ。急峻な山が多い日本では、ときにはそうした場所に出くわしてしまう。ま、そうなったらタンゴでも踊りながら落ちていくしかない。

 というわけで、3月も終わりに近づいたある夜。僕はワインを飲みながら、東北地方の地図を眺めているのだった。

うっかり、海の地図にも手を伸ばしてしまった夜である。 アイランドホッピング(島から島への旅)や海峡横断で何度も訪れた沖縄の慶良間列島。シーカヤック旅をするなら、この「ヨッティング・チャート(ヨット・モーターボート用参考図)」が使いやすい。 いまの季節、この海域はザトウクジラであふれてる。カヤックからクジラを見る、というのは僕にとっては最高の愉悦だ。

うっかり、海の地図にも手を伸ばしてしまった夜である。
アイランドホッピング(島から島への旅)や海峡横断で何度も訪れた沖縄の慶良間列島。シーカヤック旅をするなら、この「ヨッティング・チャート(ヨット・モーターボート用参考図)」が使いやすい。
いまの季節、この海域はザトウクジラであふれてる。カヤックからクジラを見る、というのは僕にとっては最高の愉悦だ。