ブランケットとお月さん

ブランケットとお月さん

寒い冬こそ外遊びだ、と強がってはみたものの、寒さを強がりだけではカバーできない。 夜ともなれば、その寒さは鋭いナイフのように冷たく研ぎすまされてくる。 しかし、空には明るい月が昇ってきた。 そんな夜を見のがすわけにはいかないじゃないか!

 この季節、日暮れは早い。  日が落ちると、山には静けさとともに、寒さが大波のように押し寄せてくる。そんな夜には、熱々の料理を食べ、さっさとテントへもぐり込み、暖かいダウンの寝袋にくるまれていたいもんだ。  月明かりに照 […]

 この季節、日暮れは早い。
 日が落ちると、山には静けさとともに、寒さが大波のように押し寄せてくる。そんな夜には、熱々の料理を食べ、さっさとテントへもぐり込み、暖かいダウンの寝袋にくるまれていたいもんだ。
 月明かりに照らされたテントの天井を眺めていると、やがてそれが夢の景色にかわっていく。そんな時間が大好きだ。

 が、ちょっと待ってくれ。せっかくの冬の山旅である。
 しかも今夜は、大好き女の子といっしょだ。
 寒さと少しばかり向きあって、ちょっと散歩へ出かけようではないか。月もぼくたちの味方をしてくれている。

紡績から製品作りまで伝統的な行程で製造しているペンドルトンは、アメリカの歴史や文化とともに歩み、数々の逸品を生んできた。そんな傑作のひとつが、このウールのブランケットだ。ペンドルトンのブランケットは、100年以上もの歴史をもつ。

紡績から製品作りまで伝統的な行程で製造しているペンドルトンは、アメリカの歴史や文化とともに歩み、数々の逸品を生んできた。そんな傑作のひとつが、このウールのブランケットだ。ペンドルトンのブランケットは、100年以上もの歴史をもつ。

 冬の月夜は、ほんとうに明るい。空気が澄んでいるからだろうか。それとも、気温が低いことで、月の光にも暖かさを求め明るく感じているだけなのだろうか。
 いずれにせよ、冬の月夜はなにかせずにはいられない。

 森を歩くと、月光が作る影におどろくことしばしばである。
 夜にうごめく木の影やシルエットは、数々の月夜の神話が生まれ出てきた背景なのだろう。うまくすれば、今夜、新しい神話をかいま見ることができるかもしれない。
 満月の夜、山には不思議の国が舞いおりてくる。

わが部屋にソファがあれば、ブランケットをカバーにするのだが……。 残念ながらソファなどという洒落たものがない。そこで、そのかわりといっちゃなんだが、冬の間は車の後部座席にウールのブランケットを敷いている。

わが部屋にソファがあれば、ブランケットをカバーにするのだが……。
残念ながらソファなどという洒落たものがない。そこで、そのかわりといっちゃなんだが、冬の間は車の後部座席にウールのブランケットを敷いている。

 月明かりの森をもっと堪能したいなら、どこか風の当たらないところに座りこんでみることだ。
 集めた枯葉の上にマットを敷き、ふたりでペンドルトンのブランケットにくるまればいい。
 月は静かに動いていく。月の明かりに誘われたムササビが、人知れずぼくたちの頭上を飛んでいく。フクロウのしわがれ声も聞こえてくるだろう。
 ウールのブランケットは、こんな夜を過ごすために生まれてきたのだ。

寝る前に水筒へお湯を入れると、ひと晩中、身も心も温めてくれる「湯たんぽ」となる。ただし、そのままでは熱いので、専用のカバーを用意するか、フリースのジャケットに包む。彼女のために、こうした心配りができないなら、冬のキャンプへ行く資格なし。

寝る前に水筒へお湯を入れると、ひと晩中、身も心も温めてくれる「湯たんぽ」となる。ただし、そのままでは熱いので、専用のカバーを用意するか、フリースのジャケットに包む。彼女のために、こうした心配りができないなら、冬のキャンプへ行く資格なし。

 ブランケットにくるまって月夜に浸透していくと、いつかロケットに乗って月へいきたい、と思っていた子どものころがよみがえってくる。月はあのときからいまもかわらずそこにある。
 月は、ずいぶんと年をとっていて、とても賢そうに見えるのはなぜだろう。
 こんな夜は、月までの長い距離のことを想像しながら、少しのあいだ黙っているほうがいいな、などと思ってしまうのだ。
 ぼくたちは、ブランケットの中で距離をもう少し縮める。
 と同時に、「グリューワイン(ホットワイン)をポットに入れてくれば、完ぺきな夜になったのにな」などと、俗っぽい後悔をしはじめてしまうのだった。

風がなく湿度が低い夜なら、ダウンの寝袋とペンドルトンのブランケットを併用して、神々しい朝日に起こされるまでそのまま森に寝てしまう、ということも。森の朝日に照らし出されると、この先の人生がちょっとばかりかわってしまう。 いや、ほんとに!

風がなく湿度が低い夜なら、ダウンの寝袋とペンドルトンのブランケットを併用して、神々しい朝日に起こされるまでそのまま森に寝てしまう、ということも。森の朝日に照らし出されると、この先の人生がちょっとばかりかわってしまう。
いや、ほんとに!